職員ブログ

自立支援センターまめの樹の職員ブログです。

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兄と秋

秋。。。

毎年この季節になると、未だに思い出すことがあります。

世間的には、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋とか何やら。。


自分にとって、秋と言えば、あの日。。


自分が小学四年生の時。。

ちょうど今頃の季節です。。


うちの父親の実家(本家)を建て直しまして、新築お披露目会?みたいな会に親族全員が呼ばれまして、この会に参加した時の話です。


法事や正月など、たまにしか会えない親戚の同い年くらいの子どもたちも全員が集まっていまして、そりゃもう嬉しくて、皆でトランプなどをしながらワイワイやっていました。

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ド田舎の新築祝いですので、親族以外にも町内の方々や、建築に関わった建築士の方、大工さんも来ていまして、とても大人数が集まっていました。

そんな中、自分はトイレへ。

トイレのすぐ横の部屋が大きな台所になっていまして。
田舎の家の台所は広いのです。
たぶん台所だけで10畳以上はあったんじゃないでしょうか。

台所では親戚のおばさん達がセッセと祝いの料理を用意中。


「うわ~ご馳走だ~。」

部屋に戻り、

「今、台所を見たらさ、すっごいご馳走だったよ!」

そう伝えるとみんなが

「え!本当?やったー!」

「どんな料理?僕も見に行く~!」

「あ!わたしも~!!」

子ども達は興奮MAXで台所にダッシュ


「わ~っ!!おいしそ~!!」


「ほらっ!!まだ用意できてないでしょ!!あっちに行ってなさい!こんなとこに居たら邪魔でしょ!」

と、各々の母親から注意を受け。。


部屋に戻り、また遊びの続きを始めるのですが、めったに普段は出されないジュースをガバ飲みし過ぎまして、自分はどうもトイレが近い。。


「またトイレ行ってこよっと。」


トイレへ。

台所をふと見ますと、


「あれ??」

あんなにおばさん達がギュウギュウに集まり、料理支度をしていた台所に誰一人いません。


ちょうど出来上がった料理を運んだり、客人の相手などをして、台所から皆が出払ったタイミングだったようでした。


台所のまな板の上に、包丁で切りかけのサラミが。。


「ひゃっほ~い!!」


シメシメと言わんばかりに、そのサラミをつまみ食い。

いや、丸かじり。。

「うめ~っ!!」

横に並べてあったチーズもガブリ。。


すると向こうから台所にむかってくる足音が。


「やばいっ!!」


かじりかけのサラミをまな板に戻し、とっさにトイレに逃げこみました。

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「あぶね~あぶね。つまみ食いを見つかるところだった。てか、サラミうまかったな~。」

放尿中…。。


「きゃ~っ!!!」


台所からおばさんの叫び声が。


「な、ななっ!?」

悲鳴に驚いた自分は、出していたオシッコが途中でピタ。。。


「どうしたんだ~!?」


台所に皆が駆けつけてきました。

自分も大慌てでトイレを出ました。


悲鳴をあげたおばさんが、

「見て!!このサラミとチーズ!!」

「えっ!?」

「わわっ!かじられてる!!」

「本当だ!!このかじり方、ネズミじゃないのかっ!?」

「そうだ!このかじり方はネズミだっ!!」

「え~!嘘だろっ!」

「新築なんだぞ!!」


建築士さんや大工さんも台所に呼ばれ、そこへ親戚のおじさん達が全員交ざり、ぶちギレ&猛烈な抗議。


「お前ら、どんな家を建てたんだっ!?」

「害虫とかにも強い木材を使うと言ってただろう!!」

「台所にはネズミ防止のなんちゃらを貼ったとか言わなかったか!?」

「まず社長を呼べ~っ!!」  


建築士さんたちは体を丸め小さくして、

「すみません!」

「本当に申し訳ございません!」

と。。


その集まった大人たちの怒鳴り声・威圧感に、ただただ自分ら子どもたちは恐怖しかなく、みんなで号泣。。


自分らよりも少しだけ歳の離れたお姉さんタイプの子が、

「みんなこっちに行ってましょ」と別室へ自分らを連れて行きまして。


「お姉ちゃん、あのね、あのね、ネズミじゃない、、あれは僕がね、、、」

と、自分は全てを白状しようと思いました。

しかし話そうとはするのですが、やってしまった恐怖で嗚咽がひどく、言葉になりませんでした。


お姉さんは、

「いいのよ。あなたは悪くないの。大人たちの問題なのよ。」と。

「違う、違うんだ~僕が~…。え~んっ!!」


ずっと泣いてまして、それから30分くらい経過したのでしょうか。


この日、祝い会は中止となりまして、全員解散することになってしまいました。


結局、自分は本当の真実を誰にも打ち明けることが出来ずに帰宅。


この日から数日が過ぎ、そして一週間が過ぎ、、


ずっと罪悪感がありまして、夜になると一人でしくしく泣いてしまう日もありました。


そんな自分の様子を兄がおかしいと感じたのでしょう。


「お前、どうしたんよ?最近ぜんぜん元気がないじゃんか。」

兄が声をかけてくれました。

「あんちゃん。実はね、実はあの日……。」

全てを兄に打ち明けました。

兄は5つ上ですので、当時は中学三年生。


兄は、黙って自分の話しを聞いてくれました(←兄の顔は「嘘~。」「マジかよ~。」「ひ~~。」と終始ひきつっていましたが…)


自分はようやく打ち明けられたことの安心感で涙がとまりませんでした。


しばらく沈黙の後、兄は、、

す~と息を吸い込み、小さな声で、

「よくわかった。いいか。この話し、墓場まで持っていけよ。絶対に誰にも言うなよ。」と。。


自分は、

「墓場?何それ?墓場に何を持って行くの?」

兄は、

「じゃかあしい!死ぬまで今の話しをするなってこと!いいなっ!?」

「は、はい!!」


『墓場まで持っていく』
という言葉の意味すらわからなかった小学四年生の秋。


おそらくテレビか何かで『墓場まで持っていく』という言葉を知り、それを初めて実践用語として用いた中学三年生の兄。


あれから40年以上が経ちましたが、

この歳まで、『墓場まで持っていく』話しはこの日以降一つもありません。。。


兄は、、

兄はどうなんでしょうか。。。


機会があれば聞いてみたいと思ってます。

 

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