今日から、屋内喫煙は原則禁止となる。。
田舎から上京して30年以上が経つ。
最初に住んだのが板橋区で、駅でいうと都営三田線の板橋本町駅だ。
家賃3万円のアパートで、赤羽に住む伯母が選んでくれたアパートだった。
自分はあまり育ちがよくなかったので、父親が東京で一人暮らしの条件として、赤羽の伯母の家の近くであることと、伯母が選んだ場所に住むというのが決まりだった。
なので、上京するまで、どんなアパートなのかとか、周りの環境など全く知らなかった。
上京初日。伯母の付き添いのもと、板橋本町に。
環七と17号が交差するところに駅があり、田舎と違う車の多さと騒音、それと空気の悪さに驚いた。
アパートは、駅から徒歩5分くらいのところにあった。
アパートの前は、大きな幼稚園。園児たちの遊ぶ声が聞こえた。
「毎日、元気な明るい声が聞こえていいなぁ。」
大家さんを紹介され挨拶。その後、早速部屋へ。
6畳ひと間、トイレとシャワー室。
「ここから東京生活のスタートかぁ。。」
伯母は、「いい部屋だろ?」と。
自分が、繁華街があるような地域だと悪さをするのではないかということで、この場所を選んだのだと言う。
「うん。どうもありがとう。」
部屋の窓を開けると、アパートの前の、明るい幼稚園とは打って変わり、一面大きな墓場だった。
「うわっ。なに伯母ちゃん。お墓じゃん!」
「あんたは素行が悪くて何するかわからないから、毎日いろんな方に見守ってもらいなさい。」と言う。
「何が見守られろじゃっ!怖くて仕方ねーはっ!」
「大丈夫よ、慣れるから」と。。。
いやいや、マジ怖い。
案の定、夜は怖くて窓を開けれないし、換気すらできない。
同じく上京してきた友人は、気味が悪いと遊びに来ようとしない。
なんちゅーデビューをさせんのじゃっ!
そんな環境でも来てくれる友人が一人だけ居た。
ある日、この友人と部屋でお酒を飲みながら談笑していた。
もう寝ようかとなり、布団を敷いた。友人が寝る前に一服とタバコを吸い始めた。
そのタバコから落ちた火柱が布団に落ちた。
「あっ。やべっ!」
パンパンと布団を叩いたが、それがまた火柱を左右に飛ばし引火。布団がたちまち燃え始めた。
「ぎゃっ!何してんべやっ!!」
「ひ~っ!水っ!鍋か何かに水いれて早く持ってきて!!」
本当にあっという間に大きな火になった。
掛け布団から敷き布団にまで引火。
鍋の水をかけても全く意味がない。
とっさな判断で窓を全開にし、布団を外に(墓場の方に)放り投げた。
夜中の1時くらいであっただろうか。
外ですごい勢いで燃える布団。。部屋は火事にならずおさまったが、外の布団がまだ燃えている。風で建物に引火したらマズイ。
消防車を呼ばなきゃ!!
互いに焦ってテンパってるし、今まで消防車など呼んだことがない。
「おいっ!消防車って何番にかけるんだっけ!?」
「1、、117っ!!」
…ピッピッ…只今より、午前…。
「アホ!これ時報だよ!」
「えっ?何番だっけ!?」
「忘れた!とりあえず110番しろ!」
「110番って警察だよっ!」
「いーからしろっ!ボケ~っ!」…完全にテンパっていた。。
で、結局、警察から消防車を要請してもらい、わずか15分後くらいにパトカーが。それからすぐに3~4台の消防車がサイレンを鳴らして到着。
近所は騒然となった。
警察が着いた時に、すでに布団は鎮火していた。
警察、消防、大家さんに事情を説明。
こんこんと注意を受けた。。
翌日、大家から連絡がいった伯母がアパートに来た。
「上京してきて、すぐにこれかっ!!それにお墓に物を放って!!この罰当たりがっ!!」
「いやいや、友だちが…」
「友だちのせいにするなっ!!」
結局、このアパートはすぐに退室となり、伯母の家に下宿することになった。。
今の時代、喫煙者は少なくなったが、くれぐれもタバコを吸う方は気をつけてください。
布団はヤバイ。本当にヤバイ。1分もかからず、数秒の早さで火が燃え広がる。
あ~あれからもうこの歳か~。。
今日は、毎年4月になると思い出す話しでした。
文章・T